新生児マススクリーニング

1977年に日本で開始された「新生児マススクリーニング」。
これは新生児の時期に先天性代謝異常症などの検査を行うことです。

新生児マススクリーニングって何のこと?

マスは「集団」、スクリーニングは「検査」。「新生児マススクリーニング」は、診断されずに放置すると、のちに障がいが起きるような疾患を早期に発見し、その障がいを予防・または軽減する目的で行われます。先天性の病気のなかには、生後早い時期に採血を行うことで診断ができるものがあります。赤ちゃんのうちに、ホルモンに異常がある病気と、栄養素を利用する過程に何らかの問題がある病気(「先天性代謝異常症」)を発見できます。


必ず受けなければならないの?
強制ではなく任意ですが、「子どもの成育段階で起こる障害発生の予防事業」と名付けられた公的事業です。現在は、日本で生まれるほぼ100%の赤ちゃんが検査を受けています。
どんな検査を行うの?
生後数日の赤ちゃんのかかとから、数滴の血液をろ紙に染みこませて、専門の検査機関に送ります。そこで病気の可能性がないかを調べ、問題が見つかった赤ちゃんは、各地域の専門医の診察を受け、必要に応じて治療や生活の指導を受けます。
メリット・デメリットは?
症状があらわれる前に病気がわかることで、早期に対処ができます。将来起こるかもしれない障がいを予防・軽減できる可能性が高まります。デメリットは、少量ではありますが、血液を採取すること。
どんな病気が見つかるの?
2013年からは「タンデムマススクリーニング」と呼ばれる検査法が普及し、アミノ酸代謝異常症、有機酸代謝異常症など、一度に20種類以上の病気の検査ができるようになりました。以前までは6つの病気が対象だったため、より多くの病気が見つけられるようになったと言えます。
どのくらいの赤ちゃんで病気が見つかるの?
約900人に1人の割合で何らかの病気が見つかると言われています。

中村Dr.からのひとことコメント

熊本大学大学院生命科学研究部 
小児科学分野 教授 中村公俊

スクリーニングの結果は、通常は生後1か月頃までに結果が分かるようになっています。先天性の病気を赤ちゃんのうちに見つけて、障がい発生を予防する国の大切な事業です。

(取材:2018年10月末)

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