聴覚検査

先天性難聴の出現頻度は約1000人に1人とされています。
ほかの先天性疾患に比べて頻度が高いのが特徴です。

新生児聴覚スクリーニングって何のこと?

新生児聴覚スクリーニングは、赤ちゃんが受ける「きこえの検査」です。赤ちゃんに難聴の疑いがあるかどうかを調べる簡易検査で、その後に精密検査を行うと約半数に難聴が見つかります。熊本県でも2000年代に入って徐々に増え、現在約8割〜9割くらいの赤ちゃんがスクリーニングを受けています。


なぜ検査を行うの?
聞こえが悪いと、言葉が出にくくなります。言語がおくれるとコミュニケーションに障がいがおこり、人格形成・社会性の形成に問題が生じる可能性があります。先天性の難聴は治療が難しい病気ですが、補聴器や人工内耳を使うことでききやすくすることができ、言語獲得の可能性が広がります。
赤ちゃんのときに行う必要性は?
聴覚と言葉の発達は0歳から3歳ごろの早い時期がとても重要です。昔は、聴覚障害は2歳から3歳でわかることが多くありました。そうなると、その後の発達におくれが生じます。早くわかればわかるほど、その後の選択肢が広がります。1ヵ月以内にスクリーニングを行い、3ヵ月ごろまでに精密検査を開始し、6ヵ月ごろまでに療育を開始することが勧められています。
どんな検査を行うの?
脳波を使った自動聴性脳幹反応「自動ABR」を行い、正常な赤ちゃんなら大体聞こえるだろうと思われる小さな音が聞こえるかどうかを調べます。具体的には、産婦人科で出生後3日ごろに自然に寝ている時に、頭に脳波をみる電極を付け、耳から音を聞かせて検査します。約5分で終了し苦痛はありません。この検査の他に、イヤホンで内耳の反応を見る自動耳音響反射検査「自動OAE」があります。
どのくらいの割合で難聴が見つかるの?
約1000人に1人の割合で両耳難聴が発見されます。スクリーニングで難聴が疑われた場合には、精密検査により約半数に難聴が見つかります。

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鮫島Dr.からのひとことコメント

熊本大学医学部附属病院 
耳鼻咽喉科頭頚部外科 講師 鮫島靖浩

出産後6ヵ月以内で難聴が発見された子どもとそうでない子どもは、その後のことばの伸びが違うと言われます。そのためにも「早期発見」「早期療育」が望ましいでしょう。

(取材:2018年10月末)