重症化しやすい人に、
インフルエンザを
うつさない!
監修:医療法人自然堂 峯小児科 院長 峯 眞人 先生
かかる前、うつす前に、予防接種を。
感染力が強く、短期間に多くの人へ感染が広がるインフルエンザ。自分がかかってしまうと、健康な成人よりも重症化しやすいご高齢の方やお子さん、妊婦さん、基礎疾患のある方にうつしてしまうこともあります。
インフルエンザを予防するには、次の方法が有効です。
①流行前のワクチン接種
②外出後の手洗い
③適度な湿度の保持
④十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
⑤人混みや繁華街への外出を控える
⑥室内ではこまめに換気をする
インフルエンザにかからないように、うつさないように、予防対策を徹底しましょう1,2,3)。
インフルエンザを
ただの風邪と考えていませんか?
インフルエンザと風邪では、どのような違いがあるのでしょうか。風邪は、さまざまなウイルスによって起こり、鼻水などの局所症状が中心です。一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって起こり、38℃以上の発熱や全身の倦怠感などの全身症状が比較的急速に現れます1,2)。発症後、多くの方は1週間程度で回復しますが、なかには肺炎や脳症などの重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や生命にかかわる方もいます。この「重症化」は、とくにご高齢の方や基礎疾患のある方で起こる可能性が高いと考えられています1)。
感染経路は
飛沫感染と接触感染
インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染です。飛沫感染は、感染した人が咳やくしゃみをしたときにウイルスが飛び散り、別の人が口や鼻から吸い込むことで発症します。また、接触感染も注意が必要です。感染している人が咳やくしゃみを押さえた手で、ドアノブやスイッチ、つり革などに触れることでウイルスが付着。その後、別の人が触れ、その手で鼻や口などを触ると粘膜から感染する場合があります。普段からマスクの着用やこまめな手洗いを心がけましょう1,2,4)。
インフルエンザにかかったら
異常行動に注意を
インフルエンザの患者さんでは、治療薬の服用の有無や種類にかかわらず、転落などの事故につながるような異常行動が報告されています5)。
異常行動の例
- 興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする
- 突然立ち上がって部屋から出ようとする
万が一の事故を防止するため、発熱から少なくとも2日間は、とくに小児・未成年者が容易にベランダなどの住居外へ飛び出さないよう、以下のような対策を講じましょう。
- 玄関やすべての部屋の窓を確実に施錠する
- ベランダに面していない部屋で寝かせる
接種率が低い
18〜24歳
国立感染症研究所が調査した2019/20シーズンにおけるインフルエンザ予防接種状況において、1歳児以下を除くと18~24歳の接種率が低いことが示されています(接種歴不明者を含まない)6)。
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妊婦さんも
予防接種を
日本感染症学会では、妊婦さんも重症化リスクが高いため、母体および新生児の感染を減らすことが可能な予防接種を推奨しています7)。また、小規模ながら接種により先天異常の発生率は自然発生率よりも高くならないとする報告もあります8)。
ただし、妊婦さんは「予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種」できるため、接種前に必ず医師にご相談ください8)。
インフルエンザが流行する前に
予防接種を受けましょう
インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、1月末~3月上旬に流行のピークを迎えます。
遅くても流行する前の12月中旬までに予防接種を終えることが望ましいと考えられます1)。
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現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザの発症を予防することや、発症後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。
また、ワクチンを接種した際の副反応は、接種した箇所の赤みなどの局所反応が接種を受けられた方の10~20%に、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などの全身反応が5~10%に起こります。まれに、ショックやアナフィラキシー様症状がみられることもあります。そのため、接種後30分間は接種した医療機関内で安静にして、帰宅後に異常が認められた場合には、速やかに医師に連絡してください1)。