お母さん、何を優先しますか?

さて、1歳半健診(集団)の会場です。元気のよい子どもたちが順番を待っています。そして診察が終わり、予防接種項目の確認に「母子健康手帳」を見ると、BCGとポリオ以外は接種が済んでいません。「どうして?」とお母さんに聞くと、この質問を予想していたのか、不機嫌そうに「病気だったから」という答えが返ってきました。どこの地区でもそうなのかは分かりませんが、私が担当している地区の1歳半健診時の予防接種確認では、可能な予防接種が「ほとんど済んでいる」子どもと、この子のように「ほとんど済んでいない」子どもに二極化する傾向が見られます。そして済んでいない理由をお母さんに尋ねると、「病気だったから出来なかった」という答えが多いようです。まだ1歳半なのに、1年近く頻回に病気をしていたのなら、予防接種以前に、「病気がち」の方が問題です。でも、見ていると大抵は元気のよい子どもさんです。

同じく「体調がよいから予約したけど熱が出た」も、よく聞く話です。仮に病気を頻回にしていたとしていても、よくなったときに担当医に「いつから予防接種を受けられますか」と、その度に聞いておけば、確実に接種が済んでいたかもしれません。しかしながら、たまには「忙しかったから」と平気でいうお母さんもおられますが、子どもには聞かせたくない「台詞」です。生活の基盤ですから、お母さんの仕事もお父さんの仕事も大切です。でも子どもにとっては、予防接種を受けることも大切です。「日曜日や夜間に接種できれば」という声もたまには聞きます。また実際実施している医療機関もあるかと思います。ただ個人の診療所では、万に一つの「事故」に備え、看護や事務スタッフが確実に居る通常の時間帯に実施する方がより安全と考えて、夜間休日は避けている医療機関の方が多いようです。

ある有名私立小学校の入試で受験生は、噂ですが、予防接種が済んでいないと「落ちる」らしいということで、可能な接種はすべて済ませて受験に臨んでいるようです。これは確かな話ではありませんが、「お母さん、やれば出来るじゃないですか」と誉めてあげたいですね。1歳半健診や就学時健診で予防接種となると不機嫌になるお母さん方の意識を高めるのと、医療機関の接種時間を多くするのと、どちらが優先されるのでしょうか。振り返って、就学時健診で、予防接種を確認しない医師が居るという話も、よく聞きます。でも本当だろうかと思います。 定期接種の年齢が90ヵ月となっているのは、就学時健診からの余裕をみて決められている訳ですし、最後の勧奨のチャンスです。でも入学までに確実に受けていただくように、ほとんどの校医の先生方は指導をされていると信じています。

就学前に机を買いに行くのも楽しい作業ですが、その前に予防接種を受けてはいかがでしょう。そして、もうすぐ1歳の子どもさんには、「1歳のバースデーケーキより、麻疹の予防接種を!」。何を優先すればよいか考えてみませんか?