今から、ワクチン航空に搭乗です?!

全世界的な航空機関係事件の多発を受けて、飛行機に搭乗する際の検査が厳しくなっています。でも以前から結構、搭乗前の検査は厳しい時もありました。今のような機械はなかったので、一人ずつお立ち台のようなところに上がり、身体検査(ボディタッチ)からズボンの裾まで触られていました。カバンの中もひっくり返されたり、電卓は計算させられたりなど、今となれば滑稽なこともたくさんありました。現在では手荷物の中身をX線で透視したり、ペットボトルまで機械でチェックしていますね。それでも事件は起きていますが、起こすのは確かに難しくなってきているはずです。

さて、心配性のお母さんは、どこの医療機関でもおられることと思います。「先生! この予防接種で亡くなったんでしょう!!」と、緊張気味に質問に来られたお母さんへ、担当医は次のように答えました。

「予防接種とは関係ないけど、飛行機は事故がありますね、そして事故があれば亡くなったりすることはご存知ですね。だから飛行機には乗らないという方もおられるはずです。でも飛行機の必要性はある、とほとんどの方は考えています。だから世界中で毎日どの時間でも飛び回っている訳です。落ちるから乗らないという方はおられても、飛ばせてはいけないと言い張る方はあまりいませんね。」

そうですね。お気づきのように、この関係は予防接種と似ていませんか?接種事故があることは皆承知しています。
従って、同じように飛行機も、まず整備段階で十分なチェックをしています。予防接種で言えば、予約から始まりカルテのチェック、ワクチンの管理がそれにあたるでしょうか。そして目的地への飛行などの運行が、予診や診察、接種にあたります。医療機関には、航空会社と同じように予防接種ガイドラインがあり、これに基づいて、決して無理をせず、ガイドラインで定められたことを遵守して接種する訳です。37.5℃をちょっと超えただけでも、多少風邪症状があるという程度でも接種を見合わせることはあり得ます。

お母さんたちの今後の仕事の段取りとか、ガッカリされる姿をみると「接種しようか」という気持ちにもなりますが、ここは整備不十分な飛行機を飛ばすのと同じで、危険が増大しかねないので中止するということを家族に理解していただきたいのです。無理をして接種した結果として事故が起き、あちこちで同様の事故が多発したら、予防接種全体の印象は大変危険な行為となりかねません。医療機関は「確実な整備を行って搭乗客を待つ航空会社」であり、搭乗客は、予防接種を受ける子どもたちです。最近では本物の飛行機に乗る時も約束事が多くなったのと同じで、我々医療機関からも、お母さん方に約束事を理解していただきたいと考えます。もちろん「整備」も「運行」も万全でなくてはなりませんが、お母さん方も「搭乗(接種)する航空会社(医療機関)」の整備状況や運行状況もチェックしていただきたいと考えます。